「中編小説」
・媚薬

媚薬(中編)

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媚薬(中編)


所変わって、同時刻。
此方も此方で悩んでいるらしい憂い顔で溜め息を吐くのは、
一人絵草紙を前に苦悩するセイであった。

「何で気持ち良くなれないんだろう?慣れれば気持ちいいものだって
この指南書には書いてあったのに…。痛いのは身体の相性が悪いのかなぁ?
私の情が足りないのかなぁ?でも、私は大好きなのに…。」
ブツブツと一人ゴチるセイに
「神谷、そう言う事は心の中で呟くか、俺達が居ない所で口にしてくれないか…。」
居た堪れない声が響(あ)がる此処は、平隊士一同が集まる閨。
隊士部屋の一つである。
「えっ!?こ、声に出てた…?!御免!」
同室の隊士達の突っ込みに、カァと頬を赤く染めたセイが、恥ずかしげに俯く。
悩み始めるとつい口をついて言葉が出てしまう己の癖は知っていたが、
よもやこんな事まで口に出していたとは…。
考えに没頭していたとはいえ仲間達に突っ込まれるまで気付かなかった自身に
恥じ入るセイを取り囲む様に腰下ろして来た仲間達が、セイの手にしていた絵草紙を覗き込んだ。
「また、随分古い指南書を引っ張り出して来たな。
この草紙、嫁入り前の女が読む初歩の枕絵じゃないのか?」
隊士達の突っ込みに、ギクリと身体を強張らせたセイは
「嫌、あの、その…。」
しどろもどろに答えるが、皆それぞれに良い様に解釈したのだろう。
セイの弁明を置き、疑問を投げ掛ける。
「神谷がこんな草紙を読むなんて…。さっきの独り言もそうだけどさ
、妾と上手くいっていないのか?痛がるとか何とか言ってたし…。」
まさか総司と自分の事だとは言えず、染めた頬のまま大きく頷くセイに、
経験豊富な隊士達はあれやこれやとセイに助言の言葉を並べ始めた。
「それってさ、女の濡れが足りないんじゃないかな?潤いが足りないと幾ら相手が経験豊富な女でも痛がるだろ?」
「そうそう、身体の相性もあるんだろうけどさ、人並みの摩羅(もの)なら大抵の女は受け入れられるし、神谷の妾は確か年上なんだろう?お前は若いしがっつきたい気持ちも分かるがしっかり濡らしてやらなけりゃぁ入るもんも入らねぇし、女は痛がるもんよ。」
飛び交う隊士達の意見に同じ同性の男達は、然(さ)もありなんと頷くが、セイはまぎれもない女子である。
「…って、お~い、神谷。俺達の話聞こえてるか?」
口々に語り合う隊士達を他所に、今にも口から頭から立ち上らんばかりの湯気を吐き、呆然とその身を固めていたセイに、初な神谷(セイ)は図星を突かれ恥ずかしさに固まっているのだろうと勘違いされたらしく、皆の笑いの的にされた様。
バンバンと背を叩かれ意識を戻されると再び助言を受ける身と話の渦中に引き戻された。
「手練手管を駆使すれば女なんてあっと言う間に濡れるが、
そこまで持って行くのも若いお前には無理かもな。」
豪快に笑いながら助言した隊士達とセイの輪に
「おおっと、あった、あった。」
話の輪を離れ室内の物入れ。私物の行李をガサゴソと漁り出て来た小さなを薬瓶を手に戻って来た一人の隊士が、セイの目の前、小さな薬瓶に入った丸薬を差し出した。
「ほら、神谷にやるよ。情事の前に女に飲ませてやんな。痛みも忘れて喜んでくれるぞ。」
「お薬…?いいの、貰っても?」
差し出された薬瓶を手にパァと瞳を輝かせたセイ。
「おう、だから愚痴愚痴悩まず頑張れよ!」
隊士の励ましに、素直に頷いたセイは
「うん!有難う!」
と嬉しそうに薬品を自身の懐へと閉まったのだった。

■■■

同時刻。
セイが隊部屋で悩みを解決していた頃。
総司の自室では藤堂が総司の悩みを耳に腕を組みその眉間に皺を寄せていた。
「ふんふん、成程ねぇ…。総司のお気に入りの遊女(こ)が…。」
総司の思い悩み恋い焦がれる女子が、まさか平隊士のセイであるとは
口が裂けても言えず、花街の遊女(ひと)であると説明した総司は、藤堂の苦悶の表情に冷や汗を掻いていた。
セイであると言う事実以外は全て正直に。
彼女が性交の度に痛がるのは何故だろうか?と意見を求め話して見たが、
藤堂からどんな返事が返って来るか気が気でない総司は、挙動不審者ばりにソワソワと落ち着かない。
経験がものを言う情交とは言え、他の女で経験を積めと言われては身も蓋もない。
何せ、総司(じぶん)はセイ以外の女子を抱きたいとは思わないセイ一筋の男なのだ。
セイの為とは言えど他の女子と肌を合わせるつもりもない総司に取って、藤堂の二の句は、今後のセイとの情交に関わって来る。
コホンと一つ咳払いをした藤堂の所作に、ビクリと肩を強張らせた総司が引き結んだ口。
膝の上に作った握り拳をギュッと強く握り締めた。
「総司の話を聞いてる限り、その妓(こ)、不感って訳じゃなさそうだから…濡れが足りないんじゃないかな?」
「ぬ、濡れ…!?」
藤堂の一言に引き結んでいた口をパカリと開き、顔を真っ赤に染め上げた総司は二の句を告げぬまま、言葉が声をならぬのだろう。口をパクパクとさせるばかり。
そんな総司を尻目に藤堂の言葉は続く。
「総司はさ、女経験が足りないんだよ。だからさぁ、がっついてんじゃないの?
女子の身体は繊細なんだからね!回数こなしても女子の女陰(ほと)に
潤いが足りないと痛いの!…って、聞いてる?総司?」
悩みに組んでいた腕を解き、力説に拳を振り上げた先、目の前の総司が思考も限界と泡を吹く様、全身真っ赤に染まった茹で蛸よろしく、頭から湯気を立ち上らせていた。
そんな総司の情けない姿に、はぁ…と一つ溜め息を吐いた藤堂は、
「もう、仕方ないなぁ…。ちょっと待ってて。」
立ち上がると、その場に総司を残しそそくさと部屋を後にし…数分。
再び総司の自室へと顔を覗かせると赤みも収まった総司に向け
「はい、これ。」
黒い漆器の小器に入った塗り薬らしき塗薬(とやく)を渡した。
「何ですか?これ?」
差し出された小器を掌に、まじまじと見詰めていた総司に向け、得意気に笑った藤堂は語った。
「媚薬入りの軟膏。身体に害はないらしいよ。貰い物だから使った事はないけど、凄く良く効くらしいから痛みも感じず気持ち良くなれるんだって。丸薬型のモノもあるんだけどね、あれは即効性がないらしいから、総司にはこっちを上げるね。」
「び、媚薬…。」
ゴクリと息を飲んだ総司は、器の中、納められた半透明な軟膏に興味深げに指を触れては、その感触に小さく驚いている。
「一夜の情交に指一掬い分だからね。相手の女陰(ほと)の中にひと塗りして使うんだよ?容量を間違えると凄い事になっちゃうらしいから…。いや~、しかし初だ初だと思ってた総司とこんな話が出来るなんて俺、嬉しいなぁ…。…で、何処の店の子なの?花屋の小花ちゃん以外に浮気なんて憎いね総司。上手くいったら、委細聞くからね!頑張って!」
じゃぁ、と片手を上げ健闘を祈るとばかりにニコニコ顔で去って行った藤堂の背を神々しく見詰めながら、総司は手にした軟膏を大切に懐の中へと仕舞い込んだのだった。

■■■

「はぁ…。どうしましょう?媚薬何て初めて手にしましたよ。
まやかしかと思っていましたが、本当にあるんですねぇ…。」
ポツリと小さく呟きながら、総司は一人縁側にて茶を啜っていた。
懐に納めた軟膏の所在を何度も確かめる様に着物の上から懐を擦る総司は、茶器に口付けたまま、感慨深くその目を瞑る。

何時もの様に、セイと二人。
行き着けの茶屋に身を寄せると案内された部屋。
室内に入るなり、総司は、セイの腰を掬う様に腕を回し抱き締め、有無を言わせぬ早さでセイの唇を奪った。
角度を変え何度も吸うと腰の砕けたセイが総司の胸へと身を預ける様に縋りついて来る。
「神谷さん、未だ…ですよ。大人の口付けをしていません。」
胸の中、縋るセイの顎をクイと持ち上げ上向かせた総司は、ペロリと舐め上げたセイの唇。
出来た隙間に舌を滑り込ませる。
小さなセイの舌を擽る様に舌先を触れ合わせてみるが、羞恥に居た堪れず逃げてしまったセイの舌を追い掛け、絡め取った総司は自身の口内、セイの舌を引き入れると甘噛みし自身の唾液でたっぷりと濡らした舌をセイの舌に絡めてはグチュ、クチュと卑猥な水音を立て濃厚な愛撫を施して行く。
「ふっ…ん、はっ、あっ…。も、苦し…っ。」
総司の愛撫から逃れる様に唇を離した総司とセイの間。
厭らしい唾液(みず)が糸を引き口端に流れた液をペロリと舐め取った総司はセイの頬を優しく摺り上げながら嬉し気に囁いた。
「神谷さん、上手になりましたね。神谷さんの唇、甘くてとても美味しかったですよ。さぁ、今度は此方で可愛く鳴いて見ましょうね。」
そう宣言しながら、滑らせた舌先、セイの首筋を撫ぜクイと左右に押し広げたセイの袷の中、現れた晒しの端折りを歯で噛み口で引き解きながら袴の腰帯も器用に解いて行く総司はアッと言う間にセイを全裸にすると、その胸先に吸い付いた。
チュゥと赤子の様に乳を吸い立てながら空いたでは手慣れた様にセイのきめ細やかな白い肌を撫で擦りセイの感度を上げて行く様、気を高ぶらせて行く。
這い回る総司の手に、胸先の愛撫に
「あ、あ❤やっ…❤あん❤」
セイの控え目な喘ぎが漏れ始めるとソッと敷かれた敷布の褥へ横たえさせたセイの身体。
胸先から口を離した総司は唇を滑らせ白い肌地の此処其処にと自身の所有物である証の様に、紅い口吸いの痕(あと)を幾つも付けて行く。
セイの太股(あし)を軽々持ち上げ開かせると右の内股にも印を刻む総司に、吸引の痛みに顔をしかめる身体を強張らせたセイの緊張を解く様、柔らかく優しく、出来た痣を指先撫ぜながら総司は笑った。
「神谷さん、痛いですか…?もう少しだけ我慢して下さいね。後一つ。左の腿にも痕(あと)を付けたら、今夜はもう痛い事など一切しませんから。その代わり、気を失うってしまうかも知れない程、何度も気持ち良くして差し上げますからね♪」
「え?それって、どう言う意味…っ、っ❤」
セイの疑問(ことば)を最後まで紡がせぬまま、セイの内腿に強く吸い付いた総司の吸引の強さに痛みを覚え固く目を瞑り眉を寄せたセイ。
チュと離れた総司の唇と共に内出血を起こして行く肌が一際赤く色付き、今宵一番の大きさの美しい朱花(しゅか)をセイの身体に咲かせた総司は
「神谷さん、身体中に紅い花が咲きましたよ。私だけが観賞(なが)める事を許された美しい花。綺麗ですねぇ…。」
目を細めうっとりとセイの肌地を彩る痣花に酔いながら、自身の纏う着物の懐から、例の…藤堂から貰い受けた小器を取り出した。
小さな蓋を開け、軟膏を指に一掬い。
「神谷さん。お約束通り、今度は気持ち良くして差し上げますからね。」
宣言しながら、左右に押し開かれたままだったセイの女陰の中、差し入れた指先をクルリと回す様にし軟膏を内部に塗り付けた。
すると、どうした事だろう。
一時の間を置かずして、刺激(ふ)れてもいないセイの蜜壺からトロトロと透明な蜜液が…。
まるでセイの膣内、己の吐液を大量に吐き出した事後の様にセイの淫液(みつ)が溢れ出して来るではないか。
「凄いです…。女子が濡れるってこう言う事だったのですね。」
感心に呟きながら、総司は自身の纏う袴を解き手早く下帯までも脱ぎ去るとセイに覆い被さった。
「神谷さん、挿入(い)れますからね。」
既に固く起立し腹に着かんばかりに勃起(おおき)くなっていた自身をセイの花に宛がった総司。
切っ先がセイの花の入り口に触れただけでも分かる内部(うち)の熱さにゴクリと息を飲んだ総司。
焦らしたつもりはないが、中々内へと入って来ない熱に焦れた様。
瞳を涙で潤ませたセイが初めてだろう。恥じらいながら強請った。
「沖田先生…早くっ…。」
聞いた事もない様な艶を含んだセイの甘い懇願(こえ)にプツリとその理性を切らした総司が、セイの身体を気遣う余裕もなく、一気に腰を進めるとセイの身体が大きく仰け反った。
「あっ❤あっ!先生っ❤沖田先生…っ❤やっ、駄目っ、入って来る…のに、あん❤何でっ…!?
痛くない…の?気持ち良い…❤」
総司が最奥に到達する頃には、すっかりと蕩け切った顔をし、総司の背に回した腕。
「先生❤先生❤どうしよう…私、気持ち良いの。お願い、沖田先生。
我慢出来ないの、動いて❤沖田先生の一物(もの)で沢山、果(い)かせて…❤セイを滅茶苦茶にしてぇ…❤」
ギュッと総司の身に縋りながら懇願するセイに総司はワナワナと震えた。
「想像以上の効き目なんですね、凄いです。媚や…」

「何が想像以上に凄いのですか?先生?」
うっとりと頬を緩ませ、手にした茶器をグッと握り締めていた総司の眼前、声が掛かった。
聞き覚えのある声にパッとその目を見開いた総司の前には何時の間に其処に居たのだろうか?
セイの姿が。
「え…?…っ!わぁ!か、神谷さんっ…?!」
夢と現実とが交差したまま、混乱した様に上げられた総司の驚きの一声に、ビクとその身を引いた
セイが
「済みません…。何かお考え中でしたか?」
突然、声を掛け驚かせててしまい申し訳ないと謝罪するが、顔を真っ赤に染め上げた総司は
ブンブンとその顔を振り
「だ、大丈夫ですよ。何も…くだらない事を考えていただけです。」
…と、口では返すが内心は、己の妄想が総て口に出ておりセイに一部終始聞かれていたのでは
ないのかと不安に気が気でないのだが、ここは一番隊組長、沖田総司。
上司の…男の威厳と何事もなかった様に振る舞う。
「どうしました?私に何かご用でも…?」
ニッコリと優しく微笑み問い掛ける総司に、突然しおらしくなったセイが声を落とし尋ねた。
「先生、今夜お暇ですか?明日は非番だし…その…」
俄に頬を赤く染め、視線を地へと反らしモジモジと。
言葉を濁らせたセイだったが、
「夕刻、外泊届けを出して織屋(おりや)で先に待っていますからっ!」
腹を据えた様、一声叫んだセイは、総司とセイ…二人が共に逢い引きで利用する茶屋(みせ)の
一つの名を告げると恥ずかしさに居た堪れず総司の目の前、走り去って行ったのだった。

【後編に続く…】


「ここまで来たら一気に(最後まで)書けよ!」
と突っ込まれそうですが、
「こっからが長いから書きたくないのですよっ!」
と逆ギレしつつ…。(笑)

お待たせしました、中編です。
もう、既にネタバレしてますね。皆さん、もう落ちは予想出来てますよね?
うぅ~…だから、嫌なんだ!エロコメは一気に書き切らなきゃ絶対に途中でネタバレするんだ!
落ちの予想が着いちゃうんだ。お陰で面白味が半減するのだ…。(涙)
うおおお~…!!!(絶叫)
もう嫌だ!落ちの分かる話なぞ書きたくないっ!やっぱり一気に書いたモノを発表すれば良かった…。でも、一気書きだと亀より遅い遅筆だから書き上げるまでに3ヶ月とか余裕で掛かっちゃうよ、私。
遅筆なぞ生温い。亀筆が恨めしい…。
…と、言う事で、落ちの予想は粗方の方がついている事でしょう。
期待通りの落ちですよ…と遠い目をしながら、後編はひたすら沖セの二人がイチャコラするだけのお話ですが、まぁそれでも宜しければ楽しみにお待ち頂けましたら幸いです。(笑)

それでは、この度もご閲覧、誠に有難うございました!

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